たまたま車のラジオから流れてきた、カナダ在住の小学生の女の子の作文。タイトルは、「カタツムリが教えてくれたこと」。
でも、その作文の内容の話ではない。
作文の紹介が終わると、それを受けてMC男女2人による会話が始まったのだが、男性MCが突如、「ぼく、カタツムリに詳しいんです」という。
この時点で「ぼく」が誰かを私は知らない。その、「ぼく」が言うには、
カタツムリが大好きで、なりたい動物トップ10に入ってるのだそう。理由は生物の中で、最も自由な動物なんじゃないかと思っているから。
まず、オスとメスの区別がないこと。
そして、自分の家を自分で持ち運んでどこでも住めること。
その自由さが素晴らしいと思っているという。
で、衝撃的だったのが、カタツムリは地球上の生物の中で最も歯が多く、その数は1万本〜2万本ともいわれ、無数の小さい歯が連なっているいわゆる歯舌。雨の日にコンクリートの上を這っているのは、コンクリートに含まれるカルシウムを歯で削って食べているらしい。
えーーーーっっつ。
夫と二人揃って思わず声を挙げた。
あの、水分たっぷりの体の中にそんな強靭な歯を持っていようとは。しかも、カタツムリの歯は何度も生え変わるという。
頭の中にはカタツムリがコンクリートをガシガシしてる姿が浮かぶ。映像のないラジオだから、なおさら自分が作り出す映像はデフォルメされていて痛快。
びっくりびっくり。
何だか久々に驚いて、このカタツムリに詳しい人が一体誰なのか知りたくなり、家についてすぐに番組とMCが誰なのかを調べた。
NHKのちきゅうラジオという番組の地球キッズ便りのコーナー、男性のMCはブラジル生まれの歌手、モデル、俳優、當間ローズさん。
よく知らないが顔は見たことがある。高身長でシャープな顔立ちだけどインパクトがある。カタツムリのそれとは似つかわしくない。
私の中で、當間ローズ=カタツムリの人とインプットされた。これから當間ローズさんを見るたびに、このラジオのこととカタツムリを思い出すだろう。そして、當間ローズさんの名前を見たり聞いたりする時、きっと興味をもつだろう。
こういう「●●の人」と認識されることは、とても大事なことだと思う。それには意外性と落差が効果を発揮する。
え?あの人が? という驚き。
ふと、高校の生物の先生の顔が浮かんだ。本名は確か神田正人さんだが、カタツムリの研究をしていてマイマイ先生と呼ばれていた。生物のこと以外はあまり興味を持っていそうになく、見た目どちらかといえば地味な先生だった(ごめんなさい><)
しかし、カタツムリの研究に関してはすごい方だと知り、一度カタツムリについて話を聞いた覚えがある。マイマイ先生と呼ぶようになったのはそれからだ。
よほどお世話になったり好きだった先生でないと、先生の名前なんて担任でさえ覚えていないが、カタツムリ=マイマイ先生と連鎖反応で思い出した。「カタツムリの先生」だったなぁと。
そして、今更ではあるが、私も「●●の人」になりたいと思った。
ところで、生物は苦手教科だった。テストで29点、欠点をとったことだけ覚えている。「生物のテストが欠点だった人」ではある。
*カシマトモミ