車のガソリン専用のA社法人カードを作ることにした。
調べてみたら、ネットからの申し込みはできないようで、
①A社のガソリンスタンドに行って申込用紙をもらう
②必要事項を記入、捺印
③法人の登記簿謄本を用意し
④申込書と登記簿謄本を揃えて
⑤もう一度A社のガソリンスタンドまで申込用紙を持っていく
という流れのようだ。
頭の中に地図を広げ、最短コースを組み立てる。
まず、法務局に登記簿謄本を取りに行き、その帰り道にあるA社ガソリンスタンドで申込用紙をもらう。それから一旦会社に戻って申込書に記入、捺印。
申込書と必要書類を揃えて、いつも行く近くのガソリンスタンドに持っていく。
完璧っ。
1時間半くらいかなー。
ところがっ、
法務局へ向かうのにナビを無視して近道をしようとしたら、狭い道に入ってしまいあらららら、宅配便の車が止まっていてちょっと待つ。
法務局での登記簿謄本はささっと。
私が印紙を貼っている間に窓口の方が駐車券に証明のゴム印を押してくれる。本来は自分で押すものかもしれないけど、いつもここでありがとう♪と思う。
帰り道もナビを無視。土手にぶつかるまでひたすら真っ直ぐ。土手の前には目印のようにちょっと変わった木が3本。ふむふむ、来る時もここを左折すればいいのか。
申込用紙をもらうため、帰り道にあるA社ガソリンスタンドに立ち寄る。
法人カードの申し込みの案内が掲示されているのを確認した上で、30歳前後の男性スタッフに申込用紙をくださいとお願いしたら、「それは本部扱いなのでここにはない」という。
そんなわけはないと、ネットで調べたことを伝えるが要領を得ない。
他の人に聞いてみてくれないかなあとキョロキョロしてみたが、彼以外にスタッフの姿はなく、ここはゴネてもダメだと諦め、「そうなんですね、わかりました」と笑顔(ここ、大事)でスタンドを後に。
会社に戻って申込書に記入するはずがまだ申込書を手にしていない。いつものA社ガソリンスタンドまで申込書をもらいに行くとなると遠回りになる。
うーーん、今日はやめておけということか?と私の中の後まわし虫が顔を出そうとする。
いやいやいやいや、一人車の中で頭をブルンブルン。虫を振り落としていざガソリンスタンドへ。
そこで、無事申込用紙をゲット。
親切に申込の手順と必要書類を記載した用紙をくれ説明までしてくれた。それによると200円の印紙がいるらしい。
担当してくれた『ネームプレート Iさん』は、「書き損じた時のために、申込用紙を2部お渡ししておきますね、それと印紙を忘れないようにしてくださいね」と。
おお、なんて気の利く人だとしばし感動。
会社に戻る車の中、印紙を先に買うか後で買うか迷ったが、『ネームプレート Iさん』の対応に感動したばかりなのに、ここで私が後まわしにしてはいけないと郵便局に寄って印紙を求める。
会社に戻り申込書を記入、捺印、印紙も貼って書類も揃えて、再びいつものガソリンスタンドへ。
先ほどの『ネームプレート Iさん』が、もう持ってきてくださったんですか?と笑顔でしっかり確認をしてくれ、「書類に漏れはありません。ご苦労様でした」との言葉をもらって終了〜。
やれやれ。
結果3時間。
予定していた流れがひとつでも狂うと、よくわからない徒労感に襲われ後まわし虫が出てくるのが私の常だが、今日はそれに打ち勝った。
はっはっはーーーーーーっ。
やればできるではないか!
申込ができたことと、後まわし虫に打ち勝った達成感に妙な高揚を覚える。
アホか。
まあ、予定通りにことが運ぶことの方がめずらしいわけで、目の前の起こったことに一つ一つ対処するしかないんだけど。
そのおかげで、ナビが教えてくれる道よりも私好みの法務局への道順がわかったし、いつものガソリンスタンドの『ネームプレート Iさん』が気遣いの人だとわかったし。
「予定が狂った」のは私の頭の中だけのことで、そういうふうになっていた、ただそれだけのこと。
「そういうふうになっていた」といえば、大好きな絵本「魔法のことば」。
出版社 : 福音館書店
絵:柚木沙弥郎
訳:金関寿夫
ずっとずっと大昔、人と動物の区別はなく同じ言葉をしゃべっていた。いつしか人の言葉は命をもちはじめ、望むことを口に出せばそうなった。
いい意味でも、わるい意味でも。
なぜそんなことができたのか。
その後に続く最後のページには、孔雀が羽を広げた絵が描かれ、「世界はただ、そういうふうになっていたのだ。」と締めくくられる。
そう、誰にも説明できない。
なぜ、どうして?を考えたところでわからない。
思うようにいかないことも、つまり、そういうふうになっていただけ。
明日も、明後日も。
後まわしにしてしまい、あー、早くやっとけば。と思うこともあるけど、結局しなくてもなんてことなかったなーということもある。
後まわしも、まんざらでもない。
*カシマトモミ